石川・森八「長生殿」日本三大銘菓にも名を連ねるキングオブ銘菓

和菓子

歴史と製造方法について

篆書体(てんしょたい)という独特の字体で「長生殿(ちょうせいでん)」と刻まれたこの和菓子は、お菓子処の金沢を代表する落雁(らくがん)です。落雁とは、粉状にしたもち粉などの穀物に砂糖や水飴を加え、木型に入れて押し固めて作るお菓子です。材料を木型に入れた後、固めて打ち出す製法から、落雁は「打ちもの」とも呼ばれます。

歴史ある長生殿は、加賀藩3代藩主の前田利常(まえだとしつね)が、七夕に食べるお菓子を作らせたことがきっかけで誕生しました。中国の唐時代に活躍した楊貴妃と玄宗皇帝が、七夕に愛を語り合った場所、長生殿にちなんで名付けられました。 ちなみに、表面に刻まれている篆書体の文字は、江戸時代を代表する茶人、小堀遠州(こぼりえんしゅう)が揮毫したものです。

材料と味について

長生殿の材料はシンプルです。そのため、ここで妥協すると味が損なわれてしまうので、森八では高級砂糖として有名な徳島県産の和三盆、北陸のもち米、そして赤の着色には山形県産の紅花を利用しています。なかでも和三盆は、日本の在来品種である竹糖(ちくとう)と呼ばれるサトウキビが使われており、上品な甘さを楽しむことができます。

水分量が少ない長生殿は、かみ砕いて食べることもできますが、しばらく口の中に入れ、じわじわと溶けて甘さが広がるのを楽しむ食べ方をお勧めします。 また、森八では出来立て直後の状態をそのまま密封包装した「長生殿生〆」という商品も扱っています。乾燥工程前の状態で保存されているため、しっとりした口どけのよさがあり、通常の長生殿と違った触感を楽しむことができます。

森八の基本情報

創業:寛永2年(1625年) 住所:石川県金沢市大手町10-15

江戸初期からの歴史を誇る和菓子の老舗。森八の定番商品である長生殿が、いつごろ三大銘菓と呼ばれるようになったのか正確なことは分かっていません。一般的には、日本各地で様々な和菓子が作られるようになった江戸時代に自然と優れたものが選ばれるようになったと考えられています。 (日本三大銘菓は、石川県の「長生殿」新潟県の「越乃雪(こしのゆき)」「山川」を指すことが多いですが、福岡県の「鶏卵素麺(けいらんそうめん)」を入れることもあります。)

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