島根・三英堂「菜種の里」春の訪れを告げる優美なお菓子

和菓子

歴史と製造方法について

菜の花畑を蝶が舞う様子を表現している菜種の里(なたねのさと)は、島根県松江市の三英堂(さんえいいどう)で作られているお菓子です。松江の銘菓として知られる山川(やまかわ)若草(わかくさ)と合わせて、不昧公三大銘菓とも呼ばれ、茶人として名高い松江藩主の松平不昧(まつだいらふまい)が考案した和菓子です。

菜種の里は「寿々菜(すずな)さく・野辺の朝風・そよ吹けば・とひかう蝶の・袖そかすそふ」という和歌の風景に因んで名づけられ、春の暖かな雰囲気を感じさせます。 時代の経過とともに山川や若草と同じように製造方法が途絶えていましたが、三英堂が昭和の初めに菜種の里を復刻し、現在では松江の銘菓として親しまれています。

材料と味について

寒梅粉と砂糖を混ぜ合わせ、クチナシなどで色づけした黄色い落雁が菜種の里になります。焼いた餅を挽いて細かくし、さらにふるいにかけて粒を揃えた寒梅粉は、落雁になくてはならない材料です。また、蝶を表現しているのは、白い玄米です。

食べる際には、一枚板の落雁を包丁で切り分けても良いですが、手で割り、あえて断面を不揃いにしたほうが、より趣を感じられるお菓子となっています。 噛んでみるとザクッとした質感があり、その後は、口の中で柔らかく溶けて甘みがいっぱいに広がっていきます。他の不昧公三大銘菓である山川や若草と同様、お茶のお供には最適の和菓子と言えます。

三英堂の基本情報

創業:昭和4年(1929年) 住所:島根県出雲市平田町774

昭和4年の創業時以来、手仕事にこだわり、お茶席やお土産などの用途だけではなく、日常使いのお菓子を作るお店としても重宝されています。松江の三大銘菓のうち、山川と若草は他の和菓子屋さんでも販売されていますが、菜種の里だけは、三英堂のみの取り扱いとなっています。この三大銘菓がセットになった商品もあるので、ぜひご賞味ください。

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