①枯山水庭(かれさんすいてい)
入場口から歩いてまず目に入るのが、こちらの枯山水庭。徳島城表御殿の書院から眺める庭だったとされ、築山泉水庭と併せて現在は千秋閣(せんしゅうかく)の名称で親しまれています。水をいっさい使用せず敷き詰めた砂や石によって水の流れを表現し、手前には粒の大きな石を奥に砂を配置することによって、打ち寄せる波しぶきを感じることができます。
龍安寺などの厳しい思想性を感じる枯山水とは異なり、松や蘇鉄などの植栽が多いためか、大名庭園特有の大らかな雰囲気を楽しめます。園内の石組には神仙思想を表わしたものが多く、長寿の象徴とされる鶴や亀を表現したものや子孫繁栄を願った陰陽石が配置されています。
②築山泉水庭(つきやませんすいてい)
表御殿の居間に付随したとされる築山泉水庭は、人工的な山である「築山」と庭園内に造られた池の「泉水」を中心に構成されています。園内に配置された飛び石を歩くことで、様々な角度から景色を楽しめる回遊式の庭園です。池の周りを固めた護岸石組は二重三重に石が重ねられており、築山泉水庭を特徴づける非常に勇壮な景観となっています。
阿波の青石
園内でひときわ目に付く巨石が橋として利用されているこちらの阿波の青石。全長は10.35メートルもあり中央で2つに折れていることから、藩主の蜂須賀至鎮(はちすかよししげ)が踏み割ったという伝説が残っています。阿波の青石は暗緑色でツヤがあり板状に割れやすい性質を持つため、庭石として加工するのに非常に適しています。勇壮な雰囲気を感じさせる巨石は、圧倒的な存在感を放っています。
徳島城表御殿庭園の基本情報
住所:徳島県徳島市徳島町城内1-8
入園料:大人50円、小人30円
開園時間:午前9時まら午後5時まで(入園は午後4時30分まで)
アクセス:JR「徳島駅」から徒歩10分
表御殿庭園は藩主の蜂須賀家が使用する居間や書院に付随する庭園として、安土桃山時代の1600年頃に作庭されました。設計は武将で茶人の上田宗箇(うえだそうこ)が担当し、蜂須賀家の経済力を背景とした華やかな桃山様式が取り入れられた庭園です。
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